花紀行「コムラサキ」
庭先や公園などでよく見かけるコムラサキは、切り花や鉢物としても親しまれています。コムラサキが咲いているのを期待しながら川崎市の大師公園を訪ねました。
コムラサキは公園内にある「瀋秀園」の中にありました。同園は中国の瀋陽市と川崎市の友好都市提携5周年を記念して1987年につくられた中国式庭園です。
秀湖と名づけられた池を取り囲んで点在する建物は、風雅な古典庭園の建築様式がとられ、瑠璃瓦の屋根は美しい線形を描いています。
コムラサキは、高台に建つ攬翠亭脇から流れる滝つぼの近くにありました。根元から幹が10本近く伸び、高さは1.5メートルほどあるでしょうか。それぞれの幹からは1メートルくらいの細い枝が何本も伸び、枝先はしだれています。
対生した葉の付け根から出た花柄には、直形が3ミリほどのつややかなビーズのような実がたくさんついています。数えると52個もありました。50個ぐらいの実が4センチ間隔でしだれた枝先まで並んでおり、緑の葉に紫色の実が映えます。先端部分はこれから色づくのかまだ緑色です。
葉は長さが6センチあり、幅は2・5センチくらいの長円型です。葉は堅くて上半部は縁にあらい鋸歯があります。紫色を帯びた枝には細毛がまばらについています。